21/04/04

改めて柔道について語ってみる

前回の覚書では、自分にとってのヒーローである古賀稔彦さんが亡くなったことにショックを受けて、高校生のときに柔道部に所属していた思い出に浸りながら柔道について語ってみようと思ったのだけれど、気付いたら柔道ではなくて野球の思い出話を長々と書いてしまうという思いがけない展開になってしまった。ということで、今回は改めて柔道について書いてみようと思う。



高校に進学したときには、当然ながら何かの部活動には参加しようと考えていた。いきなり帰宅部というのはあまりにも悲しい感じだし、文化部に所属するというのも、いまでいうところの「陰キャ」みたいな感じがしてイヤだった。なので、とりあえず何かの運動部には入ろうと思っていたけれど、野球部に入るつもりはまったくなかった。なぜなら、中学で3年間野球を経験したことで、自分に野球のセンスはないと理解したからだ。

野球のセンスがないというか、運動神経自体がそれほど優れているわけではないということに気付いたと言った方が正確かもしれない。もちろん、「アメトーク」の名物企画である「運動神経悪い芸人」に登場する芸人ほど運動神経が悪いわけではない。中学と高校を通じて、体育の成績は10段階評価で「6」とか「7」くらいだったような記憶があるから、ごく普通の運動神経は持っていると思う。

ただ、あの頃は野球というのは人気がある種目だったので、野球部に入部する新入生は多かった。いろんな中学から集まった野球経験者が改めて高校の野球部で競い合うことになるわけだから、自分みたいなヤツが通用するとは思えない。そんなハイレベルな野球部に入部したところで、3年間ずっと補欠になる可能性が高い。ということで、最初から野球部という選択肢は自分の中にはなかった。

自分にはたいした運動神経もないくせに、「ずっと補欠なんて絶対にごめんだぜ!」みたいな自分勝手なプライドがあったのだ。そんな自分としては、文化部で「陰キャ」として生きていくのはイヤだし、ましてや帰宅部なんて論外だ。理想としては、運動部に所属して華々しく活躍し(具体的には、県大会に出場して簡単に入賞するくらいのレベル)、成績も常に学年トップクラスで、女子にもモテモテ、といった感じだ。

もちろん、さすがにそんなことは無理なのはわかっているので、現実的なところで手を打つ必要がある。県大会に出場して簡単に入賞するのは難しいとしても、最低限のラインとして、高校3年間のうちにとりあえずレギュラーにはなりたいと思っていた。しかし、当時の自分には、スポーツでライバルたちと競い合っていくための資質が絶対的に欠けていた。それは「身長」だ。

自分は子供の頃から体が小さくて、いまでこそ170センチくらいはあるけれど、子供の頃は本当に成長が遅かった。中学に入学したときの身長は143センチ、中学2年生のときには146センチ、中学3年生のときにようやく150センチになった。さらに正確にいうと、そのときの身長は150.2センチだった。150センチを2ミリだけでも超えたことが本当にうれしかったことをいまでも覚えている。ちなみに、高校に進学したときの身長は158センチだった。

なぜこれほど正確に覚えているかといえば、その当時はとにかく身長が低いことがコンプレックスで、早く大きくなりたいと思っていたからだ。前回の覚書でも書いたけれど、同じ学年のK君は中学1年生で身長は軽く160センチを超えていて、腋毛もボーボーな感じだった。腋毛どころかあそこもツルツルスベスベだった自分としては、体育の時間にK君のたくましい腋毛を見たときにけっこうな衝撃を受けて、なんだかドキドキしてしまった。

自分は、三島由紀夫の「仮面の告白」という作品が大好きで、これまでに何度も読み返しているのだけれど、この作品の中で、中学生の頃のひ弱な主人公が、たくましいクラスメートの男子にドキドキしてしまうという描写がある。この描写を読みながら、同じようにひ弱な体格で中学時代を過ごした自分は、「わかるわあ」とかつぶやきながら、勝手に主人公に自分を投影してしまうのだ。つまりは、それくらい、思春期の男子にとって身長や体格は大きな問題だということだ。

なので、中学生の頃は、自分も早く大きくなりたいといつも思っていた。しかし、その願いもむなしく、中学に入学してから卒業するまで、身長はずっと低いままだった。自分より身長が低い男子は、クラスで2〜3人くらいしかいなかったような気がする。ということで、高校に進学したときの身長は158センチしかなかったので、どんなスポーツをやるにしても、圧倒的に不利な状況だったわけだ。

これだけ身体が小さいと、野球で活躍するのは難しい。ましてや、バレーやバスケみたいな「身長至上主義」みたいな種目はさらに難しい。そこで、「いまのところ身長は低いけれど、なんとかレギュラーになってそこそこ活躍できそうな種目」という基準で考えてみた結果、「階級別になっている柔道ならどうだろうか」という結論に達したわけだ。ということで、今回も思いつくままダラダラと書いてしまい、肝心の柔道のことについては書けなかったので、この続きはまた次回ということでお願いします。



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