21/12/12

ボーナスについて考えてみる

世間一般的には、いまはボーナスの時期らしい。自分が勤務している会社は年俸制なので、ボーナスはない。この会社に入社して7年が経つので、もう7年間もボーナスをもらっていないということになる。その年の業績によって金額が左右されるボーナス制よりも、確実に収入を計算できる年俸制のほうが安心といえば安心だけれど、やっぱりボーナスがある会社はうらやましかったりする。



そんな自分にとっては、年末調整で戻ってくるお金がボーナス的な存在なのだけれど、独身で保険のたぐいにも一切入っていないので、還付金なんて微々たるものだ。正確な金額は把握していないけれど、8,000円とか9,000円とか、それくらいだと思う。とにかく、1万円未満であることは間違いない。10万円とか20万円くらい戻ってくる人もいるらしいから、なんともお恥ずかしい。ただ、今年からiDeCoを始めたので、ちょっと期待している。

そんな感じで、ボーナスやら年末調整やらで浮かれ気味な世間一般の人たちとは違い、自分の心は常にフラットなままだ。自分は12月を「精神修養の月」としてとらえている。ボーナス、年末調整、クリスマス、忘年会などなど、そうした心が浮き立つようなワードには一切反応しないように精神を鍛えてきたおかげで、最近ではまるで悟りを開いたかのような穏やかな心境に達した。

というのはもちろんウソで、やっぱりボーナスはほしいし、年末調整の還付金も「もっとあればいいのにな」といつも思うし、年末くらいはちょっと浮かれてみたいなとも思う。ただ、金銭的なことについてはかなりフラットな気持ちを保てるようになってきたというのも事実で、収入面で特に困っているということもないし、そもそもお金のかからない生活を送っているので、ボーナスがなくてもどうということもない。

それに、ボーナスについてはいい思い出ばかりでもない。自分がまだSEだった頃に務めていた会社では、半期に一度、上司との個別面談があった。事前に「目標管理シート」みたいなものを渡され、これまでの半期の実績や反省点、これからの半期の目標などを記入する。それをもとに、上司と面談しながら半期の実績を振り返り、良かった点や改善すべき点などを話し合ってボーナスの査定が決まるという仕組みになっていた。

自分は、この面談がとにかく苦手だった。というか、個別面談に限らず、社内でのミーティングとか客先での打合せとか、そういうことが本当に苦手だった。それはいまでも変わらない。というか、翻訳業界に転職してからというもの、その傾向がますます強くなっていると思う。とにかく、人と顔を合わせて自分の意見を言ったりするのがどうしようもなく苦手なのだ。この感覚はうまく説明できないけれど、わかる人にはわかると思う。

個別面談に話を戻すと、目標管理シートには、いくつかの項目別に5段階で自己評価を記入する欄があって、これもイヤだった。よく覚えていないけれど、「リーダーシップ」とか「チームメンバーに対するケア」とか「進捗管理」とか、そんな感じの項目が並んでいたと思う。自分は当時、管理職一歩手前の「主任」という役職だったので、管理職になるための能力やスキルが主な評価対象だった。

自分は、自己アピールがものすごく下手で、自己評価も低い人間なので、5段階で自分を評価しろと言われると本当に困ってしまう。心情的には、すべて「2」くらいにしたいところだけれど、あまりにも自己評価が低いというのも何かとマズいだろうから、すべて「3」にするというのがいつものパターンだった。「根気強さ」とか「作業のスピード」とか「集中力」なんていう項目があれば自信をもって「5」を付けるのだけれど、工場の作業員でもない限り、そんな項目なんてあるはずがない。

そんな自分の気持ちを察してか、上司は「この項目は「3」になってるけど、「4」にしておこうか」みたいな感じで適当に調整してくれた。そんな上司に対して、「自分はこういう自己評価が本当に苦手なんですけど、ほかの人はどんな感じなんですか」と聞いたところ、「すべての項目を自信満々で「5」にする人もいる」と言われたので驚いた。自分なんて「4」を付けるのですらためらうのに、すべての項目を「5」にするなんて、頭がおかしいんじゃないだろうか。というか、その図々しさがうらやましい。

そんな感じで、自己評価が低くて自己アピールも下手な自分にとっては、ボーナスの査定を決める個別面談が苦痛でしかたなかった。「別に、ボーナスが5万とか10万とか違っても、そんなことはどうでもいいから、個別面談なんて苦痛なことからは解放してくれ」というのが、当時の正直な気持だった。なので、ボーナスがないいまの会社生活は、実は自分にとって快適だったりするのかもしれない



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