21/11/07

今回の選挙について思うこと

今回の選挙は、ほとんどのメディアが「自民党は大苦戦、立憲民主党は大躍進」みたいな予想だった。大手新聞社の中では最も右寄りの産経新聞でさえ、「自民党は苦戦するだろう」という論調だった。「自民党は意外に善戦しそうだ」という予想をしたのは朝日新聞だけだったけれど、結局この予想が実際の結果に最も近かったことになる。与党が大嫌いな朝日新聞がけっこう正確に予想したというのが面白い。



自分としては、各メディアのこうした予想をふまえて、「自民党の勝敗ラインとしては、単独で過半数を取れるかどうかだろうな」と思っていた。前回の選挙で勝ちすぎていたので、今回の選挙で議席を減らすのは間違いないけれど、その落ち込みをどの程度まで抑え込めるかと考えた場合、単独で過半数を獲得するというのがギリギリのラインだろうなと思った。過半数を取れないと、さすがに「惨敗」というイメージになってしまう(ちなみに自分は右寄りなので、当然自民党に投票した)。

そんな感じで開票速報を見ていたのだけれど、どのチャンネルを回しても、自民党の獲得議席数の予想はあまりかんばしくない。NHKは議席数にかなり幅を持たせていて「220〜250議席」みたいな感じで予想していて、民放各社は「235議席」とか「246議席」みたいにピンポイントで予想していた。自分はいつもNHKを中心に見ているので、「自民党の単独過半数はギリギリ」というNHKの予想を見て、「やっぱりそんな感じなのか」と思った。

いつまでもテレビにかじりついて開票速報を見るほどの興味もないので、その日はそのまま寝たのだけれど、翌朝起きてテレビを見ると、自民党が261議席を獲得していたので驚いた。単独過半数どころか、絶対安定多数を獲得しているではないか。いきなりの展開に寝起きの頭ではついていけず、少しの間混乱したけれど、どうやらほとんどのメディアの予想が大外れしたらしいということは理解した。

それにしても、各メディアの予想がここまで大きく外れた選挙というのは、ちょっと記憶にない。いったいどうしてここまで大きく外れたのか、その理由を知りたくて調べてみたところ、「出口調査の精度に問題があるのでは」という記事を見つけた。この記事によると、出口調査に応じる人というのは、いわゆる「意識高い系」のリベラルな人が多くて、出口調査に応じない人はオールドメディアのことを信頼していない人が多いからではないか、という考察だった。

この考察には、なるほどと腑に落ちるものがあった。要するに、左寄りの人というのは、新聞やテレビや雑誌といったオールドメディアの論調(つまりは、政権を批判する論調)に同調する傾向が強くて、そうしたメディアが行う出口調査にも積極的に応じるということだ。逆に、右寄りの人は政権批判ばかりするオールドメディアを信頼していないから、出口調査にも応じないということだろう。

もちろん、今回の結果については出口調査だけが原因ではないだろうけれど、この考察にはそれなりに説得力があると感じた。オールドメディアが無責任に垂れ流す政権批判をそのまま鵜呑みにする人たちと、ネットで積極的に情報を収集する人たちとの間では、かなりのギャップが生じているのではないだろうか。こうしたギャップは、大手メディアが行う世論調査や出口調査では見えてこないけれど、今回の選挙でそれが見えてきたということではないだろうか。

それはともかく、今回の選挙で立憲民主党が負けてよかった。というのも、立憲民主党が出した「政権獲得後、すぐに閣議決定する7つの事項」というのがあって、とにかくそれがひどいと思っていたからだ(詳しくはこちらを参照)。「1. 補正予算の編成 2. 新型コロナ対策司令塔の設置 3. 2022年度予算編成の見直し」まではいい。別に問題はない。ただ、その後がとにかくひどい。

4. 日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命
5. スリランカ人ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開
6.「赤木ファイル」関連文書の開示
7. 森友・加計・「桜」問題真相解明チームの設置

立憲民主党は、政権を獲ったらまっさきにこれらを閣議決定するつもりだったらしい。はっきり言ってバカじゃないかと思う。これらの事項は、与党の揚げ足をとって追及するには好都合なのかもしれないけれど、いったいどれだけの人がこれらの事項に賛同するだろうか。そんなことより、もっと切実な問題はいくらだってあるだろう。7つの公約のうち4つが与党の揚げ足取りって、本当にあきれる。立憲民主党の人たちの視界にはいったい何が見えているのだろうか。

そんな感じで、今回の選挙ではオールドメディアの限界を感じた。無責任な論調で政権批判をして世論をその方向に引っ張っていくのは限界にきているのではないだろうか。というか、なぜ既存のメディアはこれほどまでに政権批判をするのが好きなのだろうか。「是々非々」のスタンスで報道するのがメディアの仕事だと思うけれど、TBSなんてそういう基本的なことさえ考えていないから、太田光なんていう不遜な人間を選挙特番に起用して炎上してしまうのだ。



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