21/10/17

奥歯を抜いた件について

歯の詰め物が取れてしまったので、歯医者に行くことにした。歯医者が好きな人はいないと思うけれど、自分も当然ながら歯医者は大嫌いで、できることならば行かずに済ませたいところだけれど、放置しておくと後になってさらに痛い目を見ることになりそうなので、渋々ながらも大嫌いな歯医者に行くことにした。イヤなことから逃げずに真正面から立ち向かうなんて、我ながら大人になったものだと思う。



駅の近くにあるこぎれいな歯医者に行ったのだけれど、診察室はけっこうな広さの個室になっていて、ちょっと驚いた。駅近の物件でこれほどぜいたくな作りにしているわけだから、相当なお金がかかっていることは間違いない。最近の歯科業界は競争が激しくなって経営が大変だという話を聞くけれど、駅に近いというだけではダメで、広い個室を用意しなければ客が来ないという感じになっているのかもしれない。

それはともかく、自分としてはチャチャッと治療してもらうつもりで行ったのだけれど、口内の状態を確認してもらったところ、右下の奥歯が根元で折れているらしい。実際にレントゲンを撮ってみると、たしかに折れている。言われてみれば、何年か前から、右下の奥歯がなんだか頼りない感じで、硬いものを食べるときに思い切り噛めないような感じになっていた。

それだけでなく、歯石がひどいことになっているらしく、「このまま放置すると、歯は何本も残りませんよ」と言われた。この前歯医者に行ったのはおそらく15年くらい前のことだから、あまり丁寧に歯を磨かない自分としては「歯石が大変なことになっているんだろうな」とは思いつつも、あえて気にしないようにしていた。しかし、「このままでは歯が残らない」と言われたのはやっぱりショックだった。

ということで、まずは目に見える範囲の歯石を取り除き、それから歯周ポケットの歯石を落としていこうということになった。すべて一度にはできないので、右下、右上、左下、左上という4つのブロックに分け、麻酔を打って施術するという。自分としては、詰め物が取れたところをチャチャッと治療してもらうつもりでいたので、なんだか大変なことになってきたなという感じだった。

歯石取りは「超音波スケーラー」という器具を使ってやってもらったのだけれど、これがめちゃくちゃ怖かった。これまでは、先端が鈎型になっている器具でガリガリと歯石を取り除いてもらった経験しかなかったけれど、この超音波スケーラーというヤツは、水を出しながら超音波で歯石を取るという仕組みらしく、とにかくイヤな音がする。「チュイーーーン!」みたいな神経に障る音で、とにかく怖い。

歯を削るときも、同じように神経に障る音がするけれど、あの音よりもさらに不快だ。施術中は本当に恐怖しかなくて、脂汗が出てくるくらいだった。この恐怖は、最初に目に見える範囲での歯石取りをしてもらったときに経験したわけだけれど、後日に右下部分の歯周ポケットの歯石取りをしてもらったときにも、まったく同じ恐怖を体験した。あの怖さは何度経験しても慣れそうにない。歯石取りはあと3回残っているので憂鬱だ。

歯石を取ってもらうだけでもこんなに恐怖なのに、歯を抜くとなったらどんなことになるのか、いろいろなことにビビリの自分としては気が重かった。抜歯の経験としては、30歳くらいのときに親知らずを抜いたことがある。もちろん麻酔をするから痛くはないのだけれど、ものすごくグリグリされたりする感覚はわかるので、まったく気持ちのいいものではない。抜歯の後も、しばらくは出血が続いたような記憶がある。

そんな感じでかなりビビっていたのだけれど、先生の話では「根元が折れていてグラグラの状態なので、少し力をかけるだけで簡単に抜けます」ということだった。それを聞いて少し安心したけれど、やっぱり怖いという気持ちは消えない。とにかく早く終わってくれと思いながら施術を受けていると、「はい、終わりましたよ」と言われたので、「え、もう?」と思わず聞いてしまったくらいにあっけなかった。

抜いた歯を見せてもらうと、一方の根元が途中から折れていて、さらに縦に2つに割れている。なんというか、かなり悲惨な状態だった。これでよくいままで奥歯としてやってきたものだと思うくらいだ。それはともかく、これからの治療方針としては、インプラント、部分入れ歯、放置プレイ、という3つらしい。一番奥の歯なので、ブリッジという選択肢はない。

調べてみたところ、インプラントは何十万もするし、そもそも骨にドリルで穴をあけて金属を埋め込むなんて怖すぎる。なので、インプラントは却下だ。絶対にない。部分入れ歯にしても、この歳で入れ歯というのはどうかなと思ってしまう。なので、まだはっきりと決めたわけではないけれど、このまま放置プレイというのが現実的な選択肢かなと思っている。そんなこんなで、抜歯よりも歯石取りのほうがずっと恐怖だということを痛感した。あの音は本当に怖い。



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