21/06/06

人類の未来について考えてみる

自分が住んでいる狛江市は、とにかく図書館が貧弱だということは、この覚書でも何度か書いた。あまりにも蔵書が貧弱なので、いまだに図書カードを作っていない。お隣が世田谷区なので、本を借りる場合には、自転車で30分くらいかかる世田谷区の中央図書館まで出かけていたのだけれど、途中で国分寺崖線による坂を越えなければならないので、なんだか億劫になってしまい、狛江市に引越してからはめっきり読書量が減ってしまった。



しかし、ここのところ世田谷区ではなくて調布市の中央図書館を利用するようになったので、ひところよりも読書量が増えてきた。距離的には世田谷の中央図書館とそれほど変わらないのだけれど、自宅から調布市の中央図書館までの行程はほぼフラットなので、ストレスなく行けるところがいい。蔵書数としては世田谷区の中央図書館にはかなわないけれど、狛江の中央図書館と比べたら雲泥の差だ。

ということで、面白そうな本を物色していたところ、スティーブン・ホーキング博士の「
Brief Answers to the Big Questions」というタイトルの本が目に入ってきた。手に取ってパラパラとめくってみると、ビッグバン、ブラックホール、タイムトラベル、宇宙開発、人工知能など、何とも面白そうな10個のテーマについてホーキング博士が語るという内容になっていたので、速攻で借りることにした。

ただ残念なことに、自分は頭が悪いので、難しいことはよくわからなかった。本当に、自分には理系的なセンスが絶望的なまでに欠けていて、宇宙の成り立ちとかにはすごく興味があるのに、そうした説明を読んでもほとんど理解できないのが悲しい。そんな感じで、科学的な説明についてはまったくと言っていいほどわからなかったけれど、博士の「人類は地球を離れて宇宙に飛び出すべきだ」という主張は興味深かった。

この先、人類にとっては破滅的な状況になることがわかりきっている地球にしがみついて共倒れになるよりも、別の惑星に移住して活路を見出すべきだというのがホーキング博士の考え方だ。これを読んだときには、「ホーキング博士って、なんて楽観的な人なんだろう」と思った。博士自身もこの著書の中で、「自分は人類に対してすごく楽観的な人間だ」と何度も発言している。

人類滅亡のシナリオはいくつかあって、超短期的なシナリオとしては世界的な核戦争があるし、それよりも長期的なシナリオとしては、隕石の衝突や氷河期の到来などがある。もっと長期的なシナリオとしては、いまある大陸がすべて集まってひとつの巨大な大陸になって気候変動が発生し、内陸部が砂漠化して人間の住める環境ではなくなり、沿岸部のわずかな居住可能地域を争って戦争が発生する、なんていうシナリオもあるらしい。

いずれにしても、遅かれ早かれ、人類が滅亡するというのは間違いないと思う。というか、いまこうして人類が繁栄しているというのは、本当に奇跡みたいなことだと思う。こうして人類が高度な文明を謳歌できているのも、宇宙全体の歴史から見たら本当に「一瞬のまばたき」くらいの時間でしかないわけで、もしも宇宙年表があるとしたら、人類の歴史は高性能な顕微鏡で見ないとわからないくらいに小さな「シミ」みたいなものとして年表に記載されるのだと思う。

なので、この先も人類を存続させようと思ったら、宇宙に出ていくしかないというのはまったくそのとおりだと思う。しかし、その実現性についてはどうだろうか。ホーキング博士によると、現在の技術を高めていけば、数グラムの飛翔体を光速の数分の1のスピードで飛ばすことは可能らしい。この方法で、環境条件が地球に近い惑星に飛翔体を飛ばしてデータを収集していけば可能性はある、みたいなことが書かれていたけれど、それってどうなんだろうか。

なんというか、カネと時間がかかりすぎて、全世界の総意として宇宙開発に積極的に乗り出す機運を作り出すのはすごく難しいと思う。人間というのは基本的に自分勝手な生き物だから、「いまがよければそれでいい」とか、「自分さえよければそれでいい」みたいな考え方をする人ばかりだ。もちろん、自分もそのうちのひとりだ。いまこれを読んでいるあなただって、きっとそうでしょ?

だから自分としては、時間とカネがかかる壮大な宇宙開発計画に、全人類が一致して取り組む日がくるとは思えない。だって、これほど世界中で地球温暖化がヤバい感じになっているのに、どの国も自国の経済状況を天秤にかけながら、本当に真剣に対策に乗り出そうとはしていない。自分はホーキング博士とは違って、人類に対してものすごくネガティブな考えを持っているので、近い将来に人類は滅びてしまうんだろうと思っている。

この本では人工知能のリスクについても語られていて、それも面白かった。人工知能は、使い方によっては人類に大きなメリットをもたらすけれど、人工知能が人類を凌駕して支配してしまうリスクもあるらしい。これを読んだときには、「そんなSF小説みたいなことが起きるわけがない」と思ったけれど、人類に対してものすごく楽観的なホーキング博士が本気で人工知能について危惧しているということは、もしかしたらヤバイのかもしれない。

ということで、頭の悪い自分にとってはかなり難しい内容だったけれど、いろいろと考えさせられることもあり、なんだかんだで面白かった。興味があれば、ぜひ読んでみてください。



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