21/04/25

柔道着の魔力について語ってみる

これまで3回にわたって柔道について語ってきたので、「もういい加減に柔道の話はいいよ」と思っている人もいるかもしれないけれど、自分としてはちょっと興が乗ってきたようなところがあるので、今回も柔道ネタで押してみたい。柔道に対する世間の一般的なイメージは、「汗臭そう」とか「ダサい」とか「なんだか怖そう」とか「女子にモテなさそう」とか、だいたいそんなところだと思う。



これがバスケやバレーボールになると、「さわやか」とか「カッコいい」とか「女子にモテそう」とか、そういった感じになる。これはイメージだけではなく、実際にそうだった。バスケやバレーで活躍している男子は女子に人気があったけれど、柔道部員で女子に人気があるヤツなんて、3年間の柔道部生活において、自分を除いては皆無といってもいいくらいにいなかった。

もちろん、自分を除いてはイケメンがいなかったということもあるけれど、「自分を除いた柔道部員って、本当にモテないよな」という印象しか残っていない。自分が1年生のときの3年生なんて、全員がオッサンかと思うくらいにふけていて、ようやく声変わりを迎えたばかりの幼い自分としては、「これはとんでもないところにきてしまったぞ」みたいな感じで、とにかくみんなオッサンだった。新入部員にしても、紅顔の美少年は自分を除いてはいなかった。

柔道部員というのは、女子からはモテないけれど、男子からは一目置かれるようなところがあって、実力さえあれば、けっこう偉そうな態度で日々の生活を送ることができるような感じがあった。要は、「女子にはモテないし、勉強もイマイチだけど、いざとなったら負けないからな」みたいな、「何かあれば腕力に訴えるぜ」という野蛮な考え方が周囲を圧倒していたということだ。もちろん、自分は弱かったので、まったくそんな感じではなかったけれど。

そんなわけで、「柔道部員は女子にモテない」というイメージは、自分のようなレアケースを除けば、ほぼ当たっている。これはなぜかと考えてみたところ、柔道着が大きな原因になっているのではないかということに思い至った。よく、「スキーウェアを着ると3割増しでカッコよく見える」というけれど、それと同じように「柔道着を着ると3割増しでダサく見える」ということも言えるのではないだろうか。

柔道着には、イケメンの魅力を相当な部分奪ってしまう魔力があるのではないかと思う。高校のときには体育の必修科目として柔道があり、全員が柔道着に着替えるわけだけれど、柔道着になると、自分を除いて全員がダサく見えてしまうのだ。バスケ部やバレー部のエースとして活躍しているモテモテの男子たちも、柔道着になるとなんともカッコ悪かった。これが、どんなイケメンでもダサく見えてしまう「柔道着の魔力」だ。

柔道着の一番の魔力は、「柔道着にロン毛は似合わない」ということだと思う。たとえば、頭の中であなたにとって一番カッコいいロン髪のイケメンを思い浮かべてください。次に、そのイケメンが柔道着になった姿を思い浮かべてください。どうです、ビックリするくらい柔道着が似合わないでしょ?「いや、柔道着になってもイケメンだから!」という人は、この覚書の論旨に合っていないので、この先は読まなくてもいいです。

わかりやすい例を挙げると、吉田秀彦がバルセロナオリンピックの決勝で対戦したアメリカの選手がロンだった。なんというか、時代遅れのフォークシンガーみたいな髪型で、前髪は切っているけれど後ろは伸ばしているという感じで、なんともダサかった。これが柔道着でなければ何とも思わなかったかもしれないけれど、髪を短く刈り込んでいる吉田とフォークシンガー崩れのアメリカ選手が向かい合った瞬間に、吉田の勝利を確信した。

そんな感じで、とにかくチャライ雰囲気を寄せ付けないところが柔道着にはあると思う。本当に柔道が強い人は、当然ながら柔道着姿もめちゃくちゃカッコいいけれど、単なるイケメンが柔道着を着ても、かわいそうなくらいに似合わない感じになってしまう。そういう「イケメン殺し」みたいな不思議な魔力が柔道着にはあるのだ。この魔力は、自分を除く大多数のイケメンに当てはまると思う(今回の覚書で頻出する「自分を除く...」の部分は笑ってスルーしてください)。



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