今日は、世間一般的にホワイトデーということになるらしい。幸か不幸か、今年はバレンタインデーもホワイトデーも日曜日になってしまったので、業界的には大きな打撃を受けているのかもしれない。というか、去年から続くコロナ禍のせいで、バレンタインデーもホワイトデーもあったもんじゃないというのが実際のところだろう。なにしろリモートワークばかりで、義理チョコを渡す機会さえないわけだから。



これを機会に、職場で義理チョコを配るなんていう悪しき習慣がなくなればいいと思う。会社で義理チョコをもらって喜ぶ男子なんて、いまどきいるんだろうか。下手に義理チョコをもらったりしたら、「これって、やっぱりホワイトデーにお返しをしないといけないんだろうな」ということが真っ先に浮かんで憂鬱になってしまう。思春期の頃は、バレンタインデーはドキドキするイベントだったけれど、社会人になってからは、逆の意味でドキドキするイベントになってしまった。チョコの配布が始まると、「おれのところにはくるなよ」と思ってしまうのだ。

昔は、ホワイトデーなんていうイベントはなかった。ホワイトデーが定着したのはいつごろだったのか、正確には思い出せないけれど、少なくとも自分が中学生や高校生の頃にはなかったと思う。社会人になってからもしばらくは、ホワイトデーについて特に悩むことはなかったような気がする。いや、自分が覚えていないだけで、会社の後輩に「ホワイトデーの処理についてはよろしくな」みたいなことを言っていたのかもしれない。

職場の女子社員全員から男子社員全員に対して公平に義理チョコが配られた場合は、男子社員も一丸となってお返しをするというのが一般的だ。これが一番わかりやすいし、不公平感もないから、女子にとっても男子にとっても対応が簡単だ。前にいた会社では、ホワイトデーが近くなると、男子社員が集まってジャンケン大会を開催していた。負けたヤツがお返しの買い出しに行くのだ。

しかも、負けたヤツがお返しの配布まで担当するというルールだったから、まさに地獄のような役回りだ。もちろん、ジャンケンに負けたヤツに金銭的な負担まで背負わせることはなかったけれど、自分だったら、お金はすべて自分が出すから、女子にお返しを配って歩く役目だけは勘弁してくれと言うと思う。なんだったら、倍額払ってもいいくらいだ。それでも足りなければ、5倍までは出す。それくらい、お返し行脚はしたくない。

ただ、女子社員全員から男子社員全員に対して公平に義理チョコが配られるというのは、男子としても対処が簡単なので、まだいい。対処に困るのが、女子社員の有志が何人かで男子社員全員に義理チョコを配布するというパターンだ。職場には10人くらいの女子社員がいるのに、チョコを配っているのはそのうちの3人だけ、みたいなパターンについては、対処が難しい。

とりあえず、男子社員は全員がチョコを受け取っているので、まったくお返しをしないというわけにはいかない。しかし、女子社員全員にお返しをするというのもなんだか違う気がするし、チョコを配ってくれた3人だけにお返しをするというのも女子社員の間で波風が立ちそうな気がするしで、なんだか難しい。こういうことで気を使うのって、本当に無駄に消耗する感じで大嫌いだ。そもそも義理チョコなんていらないんだよと、声を大にして言いたい。

この、「女子社員の有志が何人かで男子社員全員に義理チョコを配布するというパターン」は実際に体験したことがある。その会社では、それまで義理チョコを配るという習慣がなかったので、自分としても油断しきっていたのだけれど、バレンタイン当日になっていきなりチョコをもらったものだから、「おいおい、これまでの殺伐とした職場の雰囲気を無理やりなごませようとするなよ」と思ったりした。同時に、「お返しが面倒だな」ということも思った。

自分と同じように感じた男子は多かったようで、ホワイトデーが近くなると男子社員の間でひそかに「お返しはどうする？」みたいなメールが飛び交うようになった。細かい経緯は覚えていないけれど、そこそこイケメンの若い男子が、「せっかくの好意なんで、自分がお返ししておきますよ」みたいな感じで引き受けてくれたので、ものすごく助かった覚えがある。

そのときは、男子社員全員でお金を出し合って、女子社員全員にお返しをしたような気がする。もちろん、実際にお返しを配って歩いたのはそこそこイケメンの若い男子だ。それに対しての女子社員の受け止めがどうだったのかはわからないけれど、男子社員の暗黙の総意としては、「だれも義理チョコなんて欲しくないから、お互い普通に仕事をしませんか」という感じだったと思う。

まあ、中には会社で義理チョコをもらって喜ぶ男子もいるのかもしれないけれど、世の中の99パーセント以上の男子は、職場でチョコをもらっても「ああ、面倒くさいな」と感じるだけだと思う。きっと、チョコを配る女子も、「毎年ほんとうに面倒くさいなあ」と思っているのではないだろうか。いっそのこと、こういう面倒くさいイベントはすっぱりとやめてほしい。

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