21/02/07

気付いたら54歳になっていた件について

ということで、いつの間にか54歳になってしまった。誕生日は2月9日なので(「肉の日」と覚えてください)、この覚書を書いている時点ではまだ53歳だけれど、半世紀以上という長い年月からしてみれば、2日なんて誤差の範囲内だ。自分はいつも、早く歳を取って早く死にたいと思っているので、多少食い気味ではあるけれど、「54歳になりますた」ということをご報告させていただきたく思います。



「54なんて、キリのいい数字でもないんだから、いちいち報告せんでもよろしい」と思う人もいるだろうけれど、自分にとって「54」という数字はかなり重要な意味を持っているのだ。おなじように、「18」、「27」、「36」、「45」という数字も、自分にとっては重要な数字だ。これらの数字に共通するものが何かわかるだろうか。ヒントは、「おいちょかぶ」です。

「おいちょかぶ」を知らないよい子のために簡単に説明すると、おいちょかぶというのは花札を使ったゲームのことで、トランプのブラックジャックによく似ている。ブラックジャックの場合、最強の数字は「21」だけれど、おいちょかぶの最強の数字は「9」だ。「8」のことを「おいちょ」、「9」のことを「かぶ」と呼ぶので、「おいちょかぶ」という。つまり、「18」、「27」、「36」、「45」、「54」はすべて「かぶ」になる数字というわけだ。

世間では、干支にちなんだ「年男」がなんとなく縁起がいいような感じで考えられているけれど、自分の場合は断然「かぶ男」の方が縁起がいいと思っている。年男だった12歳、24歳、36歳、48歳のときを思い出してみても、ぱっと思い浮かぶのは「36歳のときに、翻訳の仕事に転職したな」ということくらいで、それ以外の歳については特に思い浮かぶことはない。

しかし、「かぶ男」については、けっこう印象的な思い出が多い。ただ、はじめて「かぶ男」になった9歳のときには、これといった思い出はなくて、担任の女性教師になんとなく嫌われて、そのせいなのか通知表の成績が思い切り下がり、父親にえらく怒られたな、くらいのことしか覚えていない。通知表は5段階評価だったけれど、それまでは2つか3つくらいは「5」があったのに、担任が代わってから1つも「5」がなくなったのだ。

18歳のときには、大学進学のために上京するというビッグイベントがあった。センター試験の数学で、200点満点中16点しか取れなかったということがいまだにトラウマとして残っていて、入試の結果についてはまったく満足できるものではなかったけれど、大学生活を東京で送れたことは貴重な経験だったと思っている。苦しい家計の中で東京の私立大学に通わせてくれた両親には感謝している。

27歳のときには、新卒で入社した会社を退職して、本格的に英語の勉強を始めた。この覚書でも何度も書いているけれど、システムエンジニアという仕事は自分にはまったく向いていなくて、とにかく毎日苦痛でしかたなかった。地下鉄の駅を降りて会社に向かうエスカレーターに乗りながら、「このエスカレーターがこのまま天国まで続いていけばいいのに」と考えたことは、いまでもはっきりと覚えている。

システムエンジニアという仕事がイヤすぎて、自分に合った仕事は何だろうと考えた結果、「高校生の頃はけっこう英語が得意だったし、文章を書くことも好きだから、翻訳だったらいけんじゃね?」みたいに、かなり軽い感じで翻訳の仕事を目指したというのが正直なところだ。当時は、システムエンジニアの仕事から逃げられれば、とりあえず何でもいいや、くらいの感じだったと思う。このときのいい加減な決断がいまのお気楽な生活につながっているわけだから、自分にとっての「27歳のかぶ男」は、本当に大きな転機になったと思う。

36歳のときには、それまでコツコツと勉強を続けてきたおかげで、翻訳の仕事に転職することができた。転職先は埼玉県にある小さな工場で、1階が作業現場、2階が事務作業を行うオフィスという感じになっていた。自分は営業部に所属して、英訳を中心として翻訳作業を担当したけれど、翻訳という仕事は自分にとって天職かもしれないと思った。都内のきれいなオフィスから埼玉県の小さな工場に転職するなんて、傍から見たら「都落ち」以外の何物でもないと思うけれど、自分にとってはようやく居場所を見つけたような心地よさがあった。

45歳のときにはこれといった思い出がないけれど、その前後の44歳と46歳のときにはけっこう大きなイベントがあったので、45歳のときの「かぶ男」がまったくの無風状態だったというわけではない。むしろ、その前後の余波を食らってかなりにぎやかな感じだったかもしれない。ということで、今年も何かしらあるのではないかと期待している。ただ、自分は基本的に超絶安定志向の人間なので、現在の環境が大きく変わるようなイベントは期待していない。会社が倒産して路頭に迷った、みたいなイベントだけには遭遇したくない。



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