19/09/15 津田沼駅の大行列に見る日本人の社畜ぶり 先週の台風は、いつの間にか発生したと思ったら、あっという間に発達して千葉県に上陸し、千葉県を中心として大きな被害を残して去っていった。あの日は、いままでに聞いたことがないようなものすごい風の音がしていたので、けっこうすごい台風だなと思ったのだが、自分が住んでいる建物は鉄筋コンクリート造りなので、建物が揺れるということもなく、特に恐怖を感じることはなかった。  しかし、昨日改めて近所をポタリングしてみたところ、あちらこちらでけっこうな大木が根本から折れていたりして、ものすごい強風が吹いたのだということがわかる。民家に近い場所で倒れている木もいくつかあったけれど、倒れる方向がちょっとでもずれていたら、大参事になっていたかもしれない。それと、塩害のせいなのか、葉っぱが枯れている木が目立った。 台風上陸の前日から、JRをはじめとして多くの路線が計画運休を発表していたから、午前中は半休ということにして、午後から出社しようと考えていたのだけれど、自分が通勤で使っている総武線はいっこうに動き出す気配がない。多くの路線が午前9時頃からの運転再開を予定していて、多少の前後はあるものの、まずまず順調に運転を再開していたのに、総武線だけはピクリとも動かない。 午前10時を過ぎたあたりで、これはもうあきらめた方がいいかもしれないと思った。これで12時くらいに運転を再開したとしても、利用客が駅に殺到するだろうから、運転再開直後に電車に乗れるとは考えられない。電車に乗るだけでも、1〜2時間くらいは覚悟しなければならないだろう。電車に乗ってからも、おそらくはノロノロ運転が続くだろうから、会社に着く頃にはもう夕方になっていた、なんてことも充分に考えられる。 11時になっても運転再開の見込みがなさそうなので、その日は休むことにした。納期が近い案件があって、本当は出社したかったのだけれど、交通手段がないのだからしかたない。結局、総武線は終日運休ということになった。正確には、津田沼駅から先は午後から運転を再開したようだけれど、千葉駅から津田沼駅までは終日運休だった。 京成線に乗って津田沼駅まで行くという方法もあるけれど、そこまでして会社に行くこともない。まあ、ここで休んでしまうと、4日分の仕事を3日で終わらせないといけなくなるので、自分としてもけっこう痛いところではあるけれど、よれよれになって会社に行くほどのことでもない。それなりに本気を出せばちょっとした遅れくらいは取り戻せるだろう。 ということで、その日は休みを取ったわけだけれど、夜のニュース番組で津田沼駅の様子を見たときには驚いた。駅に入れない人たちの列がものすごいことになっているではないか。列の長さが2キロくらいになっているという話もあって、とにかくとんでもないことになっている。無理して京成線に乗っていたとしたら、自分もあの行列に並んでいたことになる。まあ、あの光景を見た瞬間にあきらめてとんぼ返りするだろうけど。 それにしても、あのすさまじい行列を目にしても、臆することなく会社を目指すという心理はいったいどうなっているのだろうか。あの時間にあの長さの行列に並ぶという時点で、その日は仕事にならないなんてことはすぐにわかりそうなものだ。どうしても会社に行かなければならないほど重要な仕事を抱えている人も中にはいたのだろうけれど、列に並んでいるすべての人かそうだというわけではないだろう。 なんというか、会社にたどり着くこと自体が最大の目標になってしまって、こんな状況でも会社を目指す自分ってカッコいい、くらいに思っているのかもしれない。こういう人って、会社に着くと、まずは自分がいかに苦労して会社まで来たのかを自慢げに話したりして、肝心の仕事に取り掛かろうとしない。おいおい、お前は大事な仕事をするために大変な思いをして会社に来たんだから、無駄口をたたかずにすぐに仕事をしろよ、なんて思ってしまう。 本当にどうしても会社に行かなければいけない人なんてごくわずかで、ほとんどの人たちは、一日くらい会社にいかなくても大勢に影響はない、くらいの感じだと思う。そういう人たちは、むしろ積極的に有給を取るなり在宅勤務に切り替えたりすべきだ。そうしないと、本当に会社に行かなければならない人たちの邪魔をしてしまうことになり、かえって迷惑だったりする。 結局のところ、ほかのみんなも大変な思いをして会社に向かっているだろうから、自分だけラクをして休むわけにはいかないという横並びの意識が多くの人を会社に向かわせるのだろう。こういう日本人特有の横並びの意識を変えていかない限り、無駄な残業は減らないし、生産性も上がっていかない。日本は生産年齢人口が減っているわけだから、労働生産性を上げていかないと現状維持すらできないことになる。意識改革は非常に重要なテーマになってくると思う。 今週の覚書一覧へ |