19/07/28

NHKに対して感じる愛憎

今回の参議院選挙で、「NHKから国民を守る党」が1議席を獲得した。「NHKをぶっ壊す」というフレーズを連呼して、NHKのスクランブル放送化というワンイシューだけに絞って選挙戦を展開した結果、見事に議席を獲得したわけだ。比例区での得票数は、社民党とほぼ同じくらいだったらしいので、世間の評価としては、長い歴史を誇る社民党と同じくらいだということになるわけで、なかなか興味深い。



というか、そもそも社民党の凋落ぶりが激しいだけのことだ。変なお面をつけて政見放送をするような人間がいるN国党と同じくらいの得票数しかない社民党の存在価値って、いったいどこにあるのだろうか。国政選挙のたびに、今回こそは政党要件を満たすことができなかもしれない、なんていう心配をされるようでは、政党としてはもう終わっている。

いい加減に、共産党なり立憲民主党なりに拾ってもらえばいいものを、何をそんなに頑張る必要があるのかがわからない。こんな政党でも、以前は土井たか子を党首として「マドンナ旋風」を巻き起こしたり、自民党と組んで村山富市が総理大臣になったりと、日本の政治の歴史において非常に重要な役割を果たしてきた。そうした動きをリアルタイムで見てきた自分としては、社民党の凋落にはなんともいえない隔世の感を覚える。

自分としては、N国党の主張に同意できる部分も大いにある。まず、NHKの受信料は高すぎる。衛星放送を受信している場合は、月額2,280円もする。自分は1年分をクレジットで前払いしているので、その分多少割引されるけれど、それでも月額にすると2,000円を超えている。毎月2,000円というのは、けっこう大きな金額だ。貧乏な自分にとって、一週間分くらいの昼食代に相当する金額だ。

それに、放送されている番組が面白くない。ニュース番組にしても、バラエティっぽい番組にしても、教養的な番組にしても、いかにもNHK的なわざとらしさを感じさせる演出が嫌いだ。偽善的と言えばいいのか、予定調和的と言えばいいのか、とにかく、台本に従って事前に練習したかのような学芸会的なノリの演出がどうにも恥ずかしい。

「だったらお前はNHKはまったく見ないのか」と訊かれたら、「すみません、けっこう見てます」と答えてしまう。実際の視聴割合を考えてみると、地上波と衛星放送を合わせて、NHKが7割、民放が3割といったところだろうか。結局のところ、ニュース番組とドキュメンタリー番組が好きなので、バラエティ番組ばかりを放送している民放はあまり見ないということになってしまう。

特に、BSで不定期に放送されている「幻解!超常ファイル ダークサイドミステリー」という番組が好きで、いつも録画して見ている。これは、UFOとか幽霊とか超能力などといったオカルト現象について、否定的な立場から科学的に考察する番組で、丹念な取材をベースとして、かなり真面目に製作されている番組だ。これなんかは、お金を払っても見てみたいなと思わせる番組だ。

あとは、スポーツ番組についても、民放のようにジャニタレを呼んだりするようなくだらない演出がないので、安心して見ることができるのがいい。地震や台風についてのニュースも、まずはNHKをチェックするし、選挙の開票速報にしても、NHK以外はまず見ない。こうして考えてみると、自分はNHKのことが大好きなのかもしれないということに気付いた。関係ないけど、NHKの林田理沙アナウンサーはとても可愛いと思う。

ただ、テレビを視聴する時間としては、以前と比べてかなり減ってきている。インターネットの普及により、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌といったメディアが「オールドメディア」と呼ばれるようになってずいぶん経つけれど、自分の場合も、テレビを視聴する時間よりも、パソコンやスマホやタブレットを使っている時間の方がずっと長い。

そうした事情もあって、テレビを手放そうかと考えることもある。部屋にテレビがあるから、なんとなく見てしまうけれど、なければないで、それほど困ることもないだろうと思う。ただ、いきなりテレビがなくなるというのもなんだか寂しい気がして、なんとなく見てしまうという感じになっている。なんだかんだ言っても、テレビの影響力はまだまだ大きいので、テレビから完全に離れるという決断をするのは、しばらく先のことになりそうだ。

NHKは、こうしたテレビ離れを恐れているのは間違いないだろう。NHKの中心的な視聴者層は、50代から上の年齢層だと思う。20〜30代の若い世代は、NHKはもちろんのこと、テレビ自体を見ないという人も少なくないと思う。NHKも、そのあたりのことに危機感を持って対応していかないと、いままでのように殿様商売をしているだけでは、視聴者がどんどん離れていくだけだろう。



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