19/06/16 生まれて初めて110番に電話した件について いま住んでいるアパートには去年の8月に引越してきたので、そろそろ1年くらいになる。正直なところ、引越す前から気が進まなかったのだけれど、実際に住んでみてもやっぱりイマイチだなと感じている。以前に住んでいたのが超高級マンションだったから、それと比較するといろんな面で格段に落ちるということもあるけれど、住環境が劣悪だというのが一番大きな問題だ。  いまの物件は歓楽街のど真ん中にあるので、それだけですでにいかがわしい雰囲気に満ちている。そのせいもあって、住んでいる人たちも、近くの風俗店で夜の仕事をしているんだろうなと容易に想像できるような派手な格好をしている若い女子が目立つ。もちろん、ごく普通のサラリーマンやOLといった人たちもいるけれど、普通の物件と比較した場合、圧倒的に水商売率が高い。 残念なことに、自分の隣に住んでいる若い女子も水商売系らしく、夜中にやたらとうるさいので閉口している。夜中の2時とか3時くらいに大勢の友人を連れてきて大声で騒いだり、玄関口で彼氏と思われる男子と大声でケンカしたりと、とにかく迷惑なのだ。もちろん、その都度注意をして、そのときはなんとなく静かになるけれど、また同じことの繰り返しという感じだ。これまでに5〜6回は注意していると思う。 そんな感じで、毎日けっこうなストレスを抱えながら生活しているわけだけれど、この前、夜中の3時くらいにいきなり部屋のインターホンが鳴った。こんな時間に何事かと思って目を覚ますと、廊下のほうから何やら言い争っているような声が聞こえてくる。ああ、これはお隣さんだなと思ってドアを開けると、やっぱりそうだった。女子とその彼氏が廊下に立っている。 とりあえず「どうしたんですか」と訊くと、女子が「暴力を振るわれそうなんです。助けてください」とか言ってくる。いやいや、君たちのケンカにどうして巻き込まれなければいけないのと思いながら、彼氏と思われる金髪の男子に「いい加減にしれくれよ」と言うと、「俺じゃなくて、ソイツが勝手に騒いでるだけだから、文句ならソイツに言えよ、このバカチンが！」などと逆切れしてくる始末だ。 いやいや、悪いのは100パーセントお前たちだろ、と思っていると、女子が「警察を呼んでください」なんて言い出した。心底面倒くさくなった自分は、速攻で110番に電話した。電話で事情を説明している自分を見て、「これはマズイ」とでも思ったのか、二人揃ってエレベーターに乗ってどこかへ消えてしまった。おいおい、そっちが警察を呼べと言ったから呼んだんだぞ。それなのに逃げてどうする。ちゃんと責任を持って最後まで対応しろ。 電話をしてから15分くらいして、二人組の警官が到着した。そこで、ひととおりの事情を説明したわけだけれど、本人たちがいなくて、自分も特に被害を受けたわけでもないという状況なので、なんともしまらない感じになってしまったのは言うまでもない。夜中にたたき起こされて110番させられ、本人たちが不在の状況でその後の対応をさせられるなんて、出来の悪いコントみたいなオチだ。自分でもちょっと笑ってしまったくらいだ。 それにしても、控えめに言ってもちょっと頭がおかしいんじゃないかと思うくらいの行動だ。そもそも、普段から散々迷惑をかけておきながら、なぜさらに迷惑をかけようという発想になるのかがわからない。夜中にたたき起こされて、赤の他人の若い男子にいきなり逆切れされて、挙句の果てにはコントみたいにバカな役回りを演じさせられるなんて、これほど理不尽なこともないだろう。 この物件に引越すときには、おそらく水商売をしている人が多いだろうから、住人のモラルが全体的に低いかもしれないという心配があったけれど、まさにその不安が的中してしまった感じだ。こうしたことだけでなく、エレベーターホールにコンビニの空き袋が捨てられていたり、郵便受けの近くにチラシのたぐいが散らばっていたり、飲みかけのペットボトルが放置されていたりといったことがよくある。 そうしたゴミを見つけるたびに、せっせと回収して処分しているのだけれど、これって割に合わないよなと思ってしまう。自分は賃借人として管理費を払っているけれど、逆に管理費を払ってもらいたいくらいだ。これまでに一番驚いたのは、袋麺の空き袋と生卵一個がエレベータの中に放置されていたときだ。だれかが間違って生卵を踏んでしまったら悲惨なことになるのですぐに処分したけれど、いったいあれは何だったのだろうか。 ただ、自分のこうした地道な努力のせいなのか、最近では自分のほかにもゴミを拾ってくれる人が出てきているような気配を感じる。朝出かけるときにゴミを見つけて、「いまは時間がないから、帰ってきたときに片付けよう」と思ってそのまま放置し、帰ってきたときにはそのゴミがなくなっているということがときどきあるのだ。これは非常にいい傾向だと思う。 それにしても、自分が住んでいる建物が荒れても平気だと感じるその神経が理解できない。別に、率先してゴミを拾えとは言わないけれど、せめてゴミは捨てるなと言いたい。不安を感じながらもこの物件に決めたのは、新築でそこそこ家賃も高いから、そこまで民度の低い住人が集まることもないだろうと思ったからだが、そんなことはなかった。やっぱり周囲の環境というのは重要だ。今度引越すときには、絶対に環境のいいところに引越すつもりだ。 今週の覚書一覧へ |