19/05/19

自転車のカギを失くして困った件について

先週の土曜日のこと、風邪を引いて熱があったけれど、さわやかな陽気にどうしても勝てず、川沿いのサイクリングロードをママチャリで走った。街中をポタリングするのも、いろいろな景色の変化が見られて楽しいけれど、川沿いの平坦なサイクリングロードをただひたすらに走るのも楽しい。ただ、街中であればコンビニやスーパーなど、いたるところに休憩ポイントがあるけれど、川沿いを走るとなるとそうした休憩ポイントを探すのは難しい。



先週の土曜日も、散々走ってちょっと疲れたので、サイクリングロードの脇にある道の駅で休憩することにした。この道の駅は、このサイクリングロードを走るときの貴重な休憩スポットだ。トイレで用を足して自販機でジュースを買い、椅子に座ってジュースを飲みながら一服して、ママチャリのある場所に戻った。しかし、ジーンズの前ポケットに入れたはずのカギが見つからない。

前ポケットだけでなく、後ろのポケットも何度も確認したが、やっぱり見つからない。これはどこかに落としたに違いないと、自転車にカギをかけてから戻ってくるまでの間に自分が歩いた範囲を何度も何度も探してみたのだが、どうしても見つからない。大した距離を歩いたわけでもなく、自転車から離れていた時間も10分くらいだったのに、完全にカギを見失ってしまった。

これは困ったことになった。以前にもカギを失くしたことがあり、スペアキーはもうないのだ。ここからアパートに帰るまでの距離は相当ある。このサイクリングロードは何度も走っているので、おおよその距離は体感的にわかる。おそらく、ここからアパートまでの距離は20キロくらいだろう。スマホを取り出して千葉駅までの経路を確認したところ、距離は18キロと表示された。歩いた場合は3時間47分もかかるらしい。

とりあえず困ったときにはグーグル先生に訊いてみるのが一番速い。「自転車 カギ 失くした」と入力してググってみると、いくつかの方法が見つかったが、何も道具を持っていない状態だし、周囲にあるお店はコンビニくらいしかないから、実際に自分でできることはほとんどない。最寄りの自転車屋さんもここから4キロ離れたところにあるので、20キロもあるママチャリの後輪を浮かせながら4キロを歩くというのも現実的ではない。

何軒かの自転車屋さんに電話をかけて出張サービスをやっていないか訊いてみたのだが、すべて断られてしまった。正確には、あさひサイクルだけは出張サービスを受けてくれるらしいのだが、事前に予約が必要でしかも平日限定とのことだったので、この状況では何の役にも立たない。業界大手のあさひサイクルでさえこんな感じだから、ほかの店も期待できないと思い、電話をかけるのはそこでやめた。

ただ、このままではらちが明かないので、現在の状況を伝えた上でどうすべきかについてアドバイスを求めたところ、ロックの部分を金ノコで切断するしかないと言われてしまった。自転車を店舗に持ってきてくれれば、すぐにカッターで切れるのですがと言われたが、それができないからこうして電話をしているわけで、自分には20キロもするママチャリを4キロも移動できるほどの体力はない。

近くにホームセンターでもあればいいのだが、一番近いところでもやっぱり4キロくらい離れている。すでに太陽が西に傾き始めているので、いまからホームセンターまで行って金ノコを買ってきた場合、無事にロックを切断できたとしても、そこから20キロもの道のりをママチャリで走らなければならないわけで、考えるだけでも疲れる。ということで、この日は自転車を放置したまま電車で帰った。最寄駅に行くのでさえ徒歩で1時間くらいかかったので、とにかく不便な場所なのだ。

次の日曜日は用事があったのでママチャリは救出できず、モヤモヤした思いを抱えたまま、昨日の土曜日にようやくママチャリの救出へと向かった。ダイソーで税込108円の金ノコを買って現場に到着すると、一週間前と同じ姿でママチャリが出迎えてくれたので安心した。倒されることもなく、前後のカゴに空き缶などが捨てられることもなく、主が不在だったこの一週間を無事に過ごしてくれたようだ。

道の駅の駐輪場で作業をすると目立ってしまうので、国道沿いのちょっと開けた歩道まで自転車を移動した。なにしろ、これからノコギリでロックを切断しようというのだから、周囲から見たら不審者そのものといった行動で、人の出入りが多い場所でそんな作業をしようものなら、たちまちのうちに通報されてしまうだろう。別にやましいことをしているわけではないので、通報されても問題はないけれど、できれば面倒なことにはしたくない。

とにかく手早く作業を済ませようと思いながらノコギリを引きはじめたところ、10分もしないうちに「ちょっといいですか」と警察官に声をかけられてしまった。あらら、もう来たのかと思いながら事情を説明し、防犯登録の番号を照会してもらって、怪しい人間ではないということを理解してもらった。まあ、どこからどう見ても怪しい行動には違いないけれど、物陰でこそこそするよりも、交通量の多い国道沿いでギコギコとノコギリを引いていた方がかえって怪しくないとは言えるかもしれない。

それにしても、あまりも迅速に警察官が登場したので、「もしかして通報があったんですか?」と訊いてみたところ、道の駅周辺は巡回コースになっているらしく、たまたまだったらしい。まあ、自転車のロックをノコギリで切断しようとしている男子がいたら、声をかけずにはいられないだろう。無事に疑いが晴れたところで、「では作業を続けてください」、と敬礼のポーズをとって警察官が去って行った。

刃を抑えているネジがすぐに緩んでしまうという困ったノコギリに悪戦苦闘しながら、30分くらいかかってなんとかロックを切断することができた。まあ、税込108円のノコギリなんてこんなものだろう。帰りに自転車屋さんに寄ってロックを交換したのだが、今度のロックにはカギが全部で3本付いているので、さすがにもうノコギリの出番はないだろう。



今週の覚書一覧へ

TOP


inserted by FC2 system