19/03/17

ピエール事件に見るドラッグの希望

自分は、俳優としてのピエールさんにも、ミュージシャンとしてのピエールさんにも特に興味はないので、今回の事件についても、「ふーん、また芸能人が見せしめのために逮捕されたわけね」くらいのことしか感じていないのだけれど、なんとなく報道を見ているとけっこう興味を惹くような情報もあったりするので、今回はそのあたりのことについて書いてみたい。



今回の事件で最初に思ったのは、「自分が稼いだカネでクスリをやっただけなんだから、そんなに騒ぐなよ」ということだ。自分は以前から、麻薬と違法ギャンブルに対する処罰が重すぎると考えていて、ドラッグにしろギャンブルにしろ、自分のカネでバカなことをやっているだけのことで、基本的には他人に迷惑をかけていないわけだから、それほど大騒ぎすることではない。

まあ、反社会的勢力に資金が流れるという面ではよくないとは思うけれど、だったらその元締めを壊滅させるのが筋だろう。大勢の捜査官が長い時間をかけてたった一人の芸能人を見せしめのために逮捕するだけのエネルギーがあるのなら、そのエネルギーをもっと本筋の捜査活動に向けてもらいたい。これほど大騒ぎして逮捕したところで、執行猶予がつくのは間違いない。そんな微罪で、ピエールさんの人生を台無しにするというのも、なんだか解せない。

結局のところ、麻薬にしろ違法ギャンブルにしろ、国にカネが入らないからダメだというだけのことだ。ハイな気分になりたかったら、高い酒税が含まれているアルコールを飲みなさい、ギャンブルがしたかったら、法外なテラ銭をふんだくられる公営ギャンブルをやりなさい、ということだ。簡単に言えば、国に税金を納めずにドラッグやギャンブルをするのは許さんぞ、ということだろう。実は、国が一番悪質な元締めだったりする。

それはともかく、今回の報道でちょっと興味を持ったのが、コカインの特性だ。覚せい剤と比べると効果が持続する時間は圧倒的に短いのに、値段は覚せい剤と同じかそれ以上だという。同じアッパー系のドラッグなわけだから、どう考えても、値段が安くて持続時間の長い覚せい剤のほうがコスパ的に優れているはずなのに、なぜわざわざコカインを選ぶのかがわからない。自分だったら、間違いなく覚せい剤を選ぶと思う。いや、そもそもドラッグに手を出すつもりはないけどね。

ひとつ考えられるのは、覚せい剤は注射という手段を使うのに対して、コカインは吸引という手段を使うということだ。注射器で薬物を摂取するというのは、いかにもジャンキーっぽくて危ない感じがするけれど、鼻から吸引するという方法ならば、そうした悪いイメージが多少は和らぐ。法律を犯して麻薬を摂取するという罪悪感を少しでもなくすという意味において、覚せい剤ではなくコカインを吸引するということが重要なのかもしれない。

今回の事件で自分が一番興味を持ったのが、ピエールさんが20代の頃からコカインや大麻をやっていたということだ。つまりは、ドラッグ歴が少なくとも20年以上になるわけで、下手したら30年近くになるのかもしれない。途中でやめていた時期もあったということだけれど、この報道についてはなんだかいろいろと考えてしまう。

報道を見る限りでは、コカインというのは依存性が高い薬物で、長期間摂取するとヤバイことになるらしいが、ピエールさんの場合は、逮捕直前まで普通に仕事をしていたわけだから、若い頃からやっていたという常習者なのにもかかわらず、社会生活に破綻をきたしていたような感じではない。なにしろ、NHKの大河ドラマに出演できるくらいだから、おかしな素振りなどほとんどなかったのだろう。

それと、本当かどうかはわからないけれど、「途中でやめていた時期もあった」というピエールさんの言葉にも注目したい。この言葉が本当だとすれば、ものすごく節度を持ってコカインを楽しんでいたということになる。テレビに出てくる自称専門家たちのコメントによれば、コカインは依存性の高いドラッグだから、簡単にはやめられないはずなのに、ピエールさんの場合、本人の言葉を信じる限りでは、やめても平気だったということになる。

このあたりの情報に、ドラッグの希望を見つけたような気がしている。従来のマスコミ報道では、一度でもドラッグに手を出したらその時点で人生が終わる、みたいな感じになっているけれど、今回のピエールさんの件で、実はそんなこともないようだという認識が広まるのではないだろうか。なにしろ、これまで20年以上もドラッグを続けてきたのに、それと並行して芸能活動も順調に続けて、これほどのニュースになるような地位にまで登りつめたわけだから。

つまり、コカインのようにヘビーなドラッグを20年以上続けても、普通に社会生活を送ることができるという実例を見せてくれたわけだ。これからドラッグに手を出そうか迷っている人たちは、今回の事件でものすごく勇気づけられたのではないだろうか。自分もピエールさんのように、節度を持ってドラッグ生活を送ることができるかもしれない、そんな考えを持った人は少なくないと思う。今回の事件をいいきっかけにして、ぜひ頑張ってほしい。



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