19/03/10

エアコンについて考えてみる

前回と前々回の覚書では、独り身になってガス料金と水道料金が大幅に下がったということを書いたので、今回は電気料金について書いてみたい。以前の電気料金については、正確に覚えているわけではないけれど、真冬の寒い時期には2万円を超える領収書を見て驚いたような記憶もあるから、年間平均で1万円を超えていたのは間違いないと思う。



いまの住居に引越してからは、安いときで3,000円くらい、高いときで6,000円くらいなので、平均すると5,000円弱といったところだろうか。なので、ガス料金と水道料金は劇的に下がったけれど、電気料金についてはそれほど下がったというわけでもない。まあ、冷蔵庫や洗濯機という、比較的電力消費の多い家電は、以前と同じものを使っているから、電気料金が劇的に下がらないのも当然と言えば当然だ。

大きく変わった要素としては、いまの住居には食洗機がないということと、エアコンのサイズが変わったということだ。以前は、毎日食洗機を使っていたけれど、いまの住居には当然そんな便利なものはないし、そもそも独り暮らしだから、食洗機を回さなければならないほど大量の食器を使って料理をするわけでもないので、食洗機がなくてもまったく困らないし、不便に感じたこともない。

エアコンについて言えば、以前は20帖用というかなり大きなエアコンを使っていた。リビングの隣には6帖の和室があったのだが、その仕切りとなるふすまを常に開け放していた。和室にはエアコンを設置していなかったので、リビングのエアコンだけで対応しようということになり、そのためにかなり大型のエアコンを設置したというわけだ。室外機もかなり大きくて、無理すれば3人家族の食卓くらいにはなりそうな感じだった。いや、別に無理しなくてもいいけど。

いまの部屋の広さは8帖くらいだから、エアコンもおそらく8帖用なのだろう。新築の部屋同様にエアコンも新品だから、いまのところ快適に動作してくれている。キャパシティとしては以前の3分の1くらいになったので、消費電力もそれに伴って下がっているはずだ。それに、最近のエアコンは省エネ性能が上がっているらしいから、そうしたことも消費電力削減に役立っているだろう。

いまでこそ、部屋にエアコンが付いているのが当たり前の生活になったけれど、学生の頃は、エアコンというのはまさに憧れの家電だった。上京して最初に住んだ部屋は6帖一間で、キッチンとトイレが共同という仕様だった。当然エアコンなんて付いているはずもなく、冬の暖房器具は布団だけ、夏の冷房器具は忍耐という名の精神力だけという、割とかわいそうな生活を送っていた。

当時の希望としては、とりあえずトイレとキッチンが付いている部屋に住みたいと思っていた。最初に住んだ割とかわいそうな部屋はちょうど1年で引き払い、キッチンとトイレが付いている部屋に引越した。しかし、この部屋にもエアコンは付いていなかったので、夏はやっぱり忍耐力で乗り切るしかなかった。とりあえずコタツは手に入れたので、冬はエアコンなしでもそれほど困らなかった。

キッチンとトイレを手に入れたら、次なる目標は当然風呂付きの部屋ということになる。2番目の部屋もちょうど1年で引き払い、キッチン、トイレ、風呂が付いている部屋に引越した。たしか、家賃はちょうど5万円だったと思う。ちょっと変則的な作りになっていて、玄関のすぐ脇にトイレがあり、部屋の奥に風呂があった。部屋に遊びに来る友人はみんな、風呂場のドアを物置か何かのドアだと勘違いしていた。

しかし、やっぱりこの部屋にもエアコンは付いていなくて、夏の暑さには閉口した。いまから考えると、あんなに暑い部屋でよく耐えられたものだと思う。おそらく扇風機くらいはあったと思うけれど、いくらぬるい空気をかき回したところで、根本的に涼しくなるわけではない。ちょっと空気を動かして風を感じれば、多少は涼しいような気分になるかな、くらいの効果しかない。

考えてみれば、当時は地下鉄にもまだ冷房車が導入されていなかった。というか、ちょうど冷房車が導入され始めたくらいの時期で、自分が新入社員の頃は、冷房車の方が圧倒的に少なかったと思う。真夏に満員の地下鉄に乗るときなんて、まさに地獄のように暑かった。冷房車は外観ですぐに区別できるので、冷房車が来るまで電車を何本か見送るなんてこともよくあった。

地下鉄の話はともかく、トイレ、キッチン、風呂というアイテムを順調に手に入れてきたわけで、次こそはエアコン付きの部屋に住みたいと思っていた。当時の自分にとっては、エアコン付きの部屋に住むのが夢だったと言ってもいいくらいに、エアコンというのは憧れの家電だった。その夢は、新入社員として会社に入社して半年後にかなうことになる。

江戸川区の葛西にある新築アパートを1棟丸ごと会社が借り上げて、そこに入居できることになったのだ。1Kの部屋の床はピカピカのフローリングで、当然のようにエアコンも付いていた。ひそかにフローリングにも憧れていた自分としては、夢の2大アイテムであるエアコンとフローリングを同時に手に入れることができて、ものすごくうれしかったことをいまでも鮮明に覚えている。なんだかんだで、あの頃はいい時代だったなと思う。



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