19/01/27

湯豆腐について熱く語ってみる

ということで、今回は湯豆腐について熱く語ってみたい。あまりの熱さに、ヤケドしたって知らないぜ。



いまの時期が寒さのピークということで、地球温暖化が叫ばれて久しい現在であっても、やっぱり寒いものは寒い。こういう寒い時期には鍋料理でも食べるかということになるわけだけれど、一人暮らしの身としては、鍋料理はちょっとだけハードルが高い。いや、鍋料理そのものは、基本的に出汁を張って肉や魚やキノコや野菜を適当に切って入れるだけだから、料理が苦手な自分にも簡単にできる。

そうした技術的な問題ではなく、独り身にとっての鍋料理の最大の問題点は、効率が悪いということだ。まあ、鍋料理に限らず料理全般について言えることではあるけれど、鍋料理の場合は特に効率が悪い。簡単な材料で作ろうと思っても、メインとなる肉や魚、美味しいダシが出るキノコ類、かさまし要員の白菜やネギなどの各種野菜たち、どんな鍋料理にも合う豆腐、といった感じで、最低でも5〜6種類くらいの食材が必要になる。

これらの食材をすべて使い切れれば問題はないけれど、さすがにそれは難しい。なので、鍋物以外には処理が難しい食材が残ったりすると、料理が苦手な男子としては扱いに困ってしまうことになる。鍋料理は嫌いではないし、調理もすごく簡単でいいとは思うのだけれど、そういった理由でどうしても二の足を踏んでしまう感じはある。

そんな感じで、最近は湯豆腐が静かなマイブームになっている。湯豆腐も一応は鍋料理として分類されるから、とりあえず「独り身の自分だって鍋料理を食べていますよ、それが何か?」という言い訳は成り立つ。湯豆腐の何がいいかといえば、やはりそのシンプルさが一番だろう。なにしろ、最低限豆腐さえあれば、それだけで湯豆腐として成立してしまうのだ。お湯で温めた豆腐をタレなしでそのまま食べても、立派な湯豆腐だ。

さすがに豆腐をそのまま食べることはないけれど、かなりシンプルな食べ方であることは間違いない。土鍋でお湯を沸かして顆粒の昆布だしを入れて、適当な大きさに切った豆腐を入れるだけだ。結婚していた頃は、料理の基本としてちゃんと出汁を取っていたから、昆布、鰹節、煮干しが常備されていて、湯豆腐のときにも昆布を土鍋に敷いていたけれど、いまとなっては望むべくもない。たしかに、ちゃんと出汁を取れば美味いのは間違いないけどね。

ただ、豆腐だけというのも少しさみしいので、油揚げも一緒に食べることが多い。豆腐と油揚げは、家族というか親戚みたいなものだから、当然相性は抜群だ。豆腐だけを食べる場合と比べて、かなりボリューム感が出て、満腹感もある。さらにボリューム感を出したい場合には、シメジやエノキといったキノコ類を入れることもある。

湯豆腐のタレは、ポン酢しょうゆ一択だ。ポン酢しょうゆと言っても、市販のポン酢しょうゆはよろしくない。なにがダメかと言えば、どれもこれも甘すぎるのがよくない。ポン酢しょうゆに限らず、市販の加工食品はどれもこれも甘すぎる。消費者の最大公約数となる味を追求した結果として、ああいう甘ったるい味になっているのだろうが、それにしても甘すぎる。味付きの缶詰なんて、食えたもんじゃない。なんとか食えるのは水煮缶くらいだ。

なので、ポン酢と醤油が最初から混ざったポン酢しょうゆではなく、単体のポン酢を買ってきて、それを醤油と混ぜ合わせてタレを作る。ポン酢単体であれば、さすがに市販品でも甘くはないので、自分好みのスッキリさっぱりとした味のタレになる。ポン酢がなければ、普通の酢でもかまわない。甘ったるい市販品よりも、ずっと美味いタレができる。

タレの次は薬味ということになるが、ネギ大好き人間の自分としては、ネギ以外の薬味は考えられない。自分は、メインよりも薬味の方が好きなんじゃないかと思うくらいに薬味好きなところがあって、牛丼を食べるときにも、これでもかというくらいに紅ショウガを乗せて食べるし、立ち食いソバ屋でも、ネギ入れ放題の店があれば(小諸そばとか)、かけそばごときでこんなにネギを乗せてしまってすみません、と心の中で謝りながら、たっぷりとネギを乗せて食べる。

なので、湯豆腐を食べるときにも、バカみたいにネギを刻んでしまう。大量のネギを食べたいがために湯豆腐を食べているという側面も、なきにしもあらずだ。ネギのほかに、かつお節もたっぷりと入れる。ちょっと酸っぱさが勝っているポン酢しょうゆに、大量のネギとたっぷりのかつお節を入れたら、最後の仕上げは一味唐辛子だ。自分は、いろんなものが調合されている七味よりも、ストレートに辛さが伝わってくる一味の方が好きだ。

肝心の豆腐についてだけれど、湯豆腐で食べる場合は木綿に限る。湯豆腐に限らず、冷奴にしろ肉豆腐にしろ、しっかりとした食感の木綿豆腐の方が好きだ。しかし、スーパーで売られている豆腐はどれもイマイチだ。昔は、個人経営の豆腐屋さんで豆腐を買っていたけれど、いまはすっかりそうしたお店は少なくなったから、スーパーで買うしかない。

値段が高い豆腐を買えば、それなりに美味しいのかなと思って買ったりするけれど、これが見事に美味しくない。200円とか300円とか、けっこうな値段の豆腐を食べても、なんだか不自然に甘い味がして、自分の好みに合わない。逆に、50円とか60円くらいのものすごく安い豆腐を買って食べると、変な味がしない分、かえって美味いと感じることが多い。つくづく自分は安上がりな人間だなと思ってしまう。

ということで、鍋料理には、いろんな食材が入った大きな鍋を家族全員で囲んでにぎやかに食べるという幸せなイメージがあるけれど、同じ鍋料理でも、湯豆腐にはそうした一家団欒といったイメージはなく、静かに淡々と味わうという感じで、まさに独り身の鍋料理としてはうってつけだと思う。べ、別に、さ、寂しくなんかないんだからね、と強がってみるテスト。



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