19/01/13

頭がよくなりたい

ものすごくいまさらだけれど、もっと頭がよくなればいいのにといつも思っている。自分は、子供の頃からいまに至るまで、新聞を読むという習慣を持ったことがない。実家では読売新聞を取っていたから、パラパラと開いてなんとなく読むということはあったけれど、一面の記事から読むのではなく、テレビ欄から読み始めて、スポーツ欄と三面記事を読んで終わり、という感じだった。



なぜこんないい加減な読み方をしていたのかと言えば、難しい記事を読んでも、自分の頭では内容が理解できないからだ。特に苦手なのが経済に関するニュースで、そもそも経済の仕組みが理解できていないので、経済に関する記事を読んでもまったくチンプンカンプンだし、そうしたニュースを避けることによってますます興味がなくなっていくという悪循環になっている。

株とか手形とか為替とか、そのあたりの仕組みがまったく理解できていない。これでよくいままで生きてきたものだと思うくらいに、経済に関する知識が絶望的なまでに欠落しているのだ。ネットで、経済の仕組みについてわかりやすく解説しているようなページもあるけれど、そうした記事を読んだときには理解したつもりになっても、少し経つとすぐに忘れてしまい、自分の頭の悪さに絶望してしまう。

システムエンジニアとして仕事をしていたときは、いつも自分の頭の悪さに嫌気がさしていた。システムを設計するために、客先に出かけて業務の流れをくわしくヒアリングするときなどに、どうして自分はこんなに頭が悪いのだろうといつも思っていた。販売データを会計プログラムと連動させる、みたいなシステムを設計したことがあるのだが、お客さんが話す内容が難しくて理解できない。

売掛金がどうとか、買掛金がどうとか、手形がどうとか、本当にわけのわからないことばかりがポンポンと出てくるので、そうした話を聞きながら、こんな仕事なんてすぐにでも辞めたい、なんてことを考えていた。わけがわからないながらも、なんとかつぎはぎだらけのシステムを納品したのだが、いまから考えても、よく納品までこぎつけたものだと思う。

自分は数学をはじめとする理系科目がからきし苦手だということは、この覚書でも何度も書いているけれど、経済にしても理系的なセンスが要求されるから、苦手なのも当然といえば当然だ。ただ、そんなことばかりも言っていられないから、簡単な簿記くらいは勉強しようと思い、会社の補助制度を利用して簿記の通信教育を受けたこともあるけれど、速攻で挫折してしまった。

数学的なセンスが決定的に欠けているだけでなく、空間把握能力もものすごく低いことを自覚している。中学の理科の授業で、月の満ち欠けの仕組みを勉強したことがあったけれど、あの手のことを理解するのがものすごく苦手なのだ。教科書に書いてある2次元の図を見ても理解できないのはもちろんのこと、NHKの教育番組で模型を使った3次元の説明を見ても、いまいちピンとこない。

自分は地図を読むのがすごく苦手だけれど、それも空間把握能力の低さのせいだ。なにしろ、地図を見ながら歩いていても、気付いたら目的地とはまったく反対の方向を歩いていた、なんてことがよくある。やたらと道にくわしい人がいるけれど、そういう人に話を聞くと、頭の中で地図を思い浮かべるときには、自分が地上を見下ろすような俯瞰図を思い浮かべるのだという。

自分の場合、そんな俯瞰図なんて思い浮かぶはずがなく、常に平面図しか浮かばないので、あれこれと考えるうちに、自分の現在地と上下左右(というか東西南北)との関係がごちゃごちゃになってしまう。最近はスマホを持って外出するようになったので、紙の地図を見ながら歩くということはなくなったけれど、紙だろうがスマホだろうが地図は地図なので、方向音痴なのはいまでも変わらない。

では、いったい自分は何だったら得意なんだろうと考えてみても、特にこれというものが思い浮かばない。強いて言えば、読解力は人よりも多少は高いと思う。仕事でほかの人が訳した文章を読むときなど、なぜこんなに矛盾した訳文を書いて平気なのかと思うことがよくある。その文章だけを見ればおかしくはないけれど、全体的に見ると明らかに文脈に沿っていない文章というのはよくある。

自分が翻訳をする場合、全体としてロジックの通った文章になっているかどうかということを一番重視している。たまに、ロジックが破たんしているような絶望的な原文を訳さなければならないこともあるけれど、そういうひどい文章でも、なんとか全体的な整合性が取れるような訳文に仕上がるように努力する。ただ、とりあえず平均以上だと感じる能力はそれくらいで、あとは何のとりえもない。

若い頃は、ただひたすらにゴリゴリと丸暗記をするというのも得意だったけれど、そうやって覚えたことはすぐに忘れてしまうので、結局は意味がない。だから、この歳になっても、あまりの知識のなさに絶望的な気分になってしまうわけだ。いまからでもいいから、朝起きたら突然頭がよくなっていないかな、なんてバカなことをよく考える。



今週の覚書一覧へ

TOP


inserted by FC2 system