18/08/05

チップを渡すタイミングについて

先週の火曜日に、無事に引越しが完了した。引越し当日も猛烈な暑さで、冷蔵庫や洗濯機やテレビなどの大きな荷物を運び出すスタッフさんの姿を見ながら、なんとも申し訳ない気持ちになってしまった。作業自体は、朝の9時前から始まり、11時くらいには引越し先での荷物の搬入が終わったので、かなり早く終わったのではないかと思う。荷物が少ないということもあるけれど、スタッフさんが頑張ってくれたおかげだ。



この暑い中を頑張ってくれたスタッフさんに、感謝の気持ちを込めてチップを渡したところ、気持ちよく受け取ってもらえた。このときは、作業がすべて終了してからチップを渡したのだが、チップを渡すタイミングというのは、なかなか悩ましいものがある。最初に渡してしまうと、チップをあげたんだから今日はしっかり仕事をしろよ、という感じに取られてしまいそうだ。

でも、どうせ渡すのであれば、最初に渡した方が気持ちよく仕事をしてもらえるような気もする。若い頃はときどきゴルフをしていたけれど、キャディさんにチップを渡すタイミングについて、仲間内でちょっとした議論になったことがある。最後に渡した方がスマートかもしれないが、最初に渡した方がお互いに気持ちがいいんじゃないかという結論に達した。

しかし、このチップを前渡しするという行為には、やっぱり下心が潜んでいることは否定できない。どうせチップを渡すのであれば、最初に渡しておいた方がキャディさんも頑張ってくれるだろうという下心があるわけだ。なんだかんだ言いながら結局は、チップをあげたんだから今日はしっかり仕事をしろよという、ちょっと傲慢な感じになってしまう。

しかし、チップを先に渡しても、まったく愛想のないキャディさんもいたりした。まあ、そのキャディさんの普段の様子を知っているわけではないから、もしかしたら、チップのおかげで普段よりも一生懸命仕事をしていたのかもしれないけれど、プレイを終えた自分たちは、せっかくチップを渡したのに、まったく効果がなかったな、という意見で一致した。

ということで、チップというものは、提供されたサービスに満足したときに感謝の気持ちを込めて渡すものだということに気付いた。サービスに満足したら気持ちよくチップを渡せばいいし、満足できなかったら渡さなければいいだけのことだ。ただ、最近は会社からチップを受け取らないように指導されているケースもあったりして、そういう場合はちょっと困る。

何年か前に、なぜかネットに接続できなくなったことがあった。そのときは金曜日の夜中だったが、月曜納品の翻訳作業を受注していたため、ネットに接続できないと作業ができず、仕事に穴をあけてしまうことになる。それは絶対に避けなければならないので、プロバイダーのサポート窓口に電話して事情を説明したところ、もう時間が遅いので今日中の対応は無理だと言われた。早くても、明日の午後になってしまうらしい。

明日の午後に復旧するのであれば、それから全力で作業すれば納期には間に合うかなとも思ったけれど、復旧が夕方までずれ込んだりしたら、おそらくは徹夜作業になってしまう。そこで、ネットに繋がらないと仕事ができないこと、すぐに復旧できなければ仕事に穴をあけてしまう可能性が高いこと、そうなった場合は御社でその金額的損失を負担してもらいたいということを少し強めの口調で話したところ、すぐにスタッフさんを派遣してもらえることになった。

こんな時間に呼び出して申し訳ないなと思いながら、こちらとしても無事に納品できるかどうかがかかっているので、とにかく早く復旧させてもらいたいという気持ちが強かった。スタッフさんがマンションに到着したのは、すでに日付が変わった頃だった。それから30分くらい作業をしてもらっただろうか、ようやくネットに繋がった。

スタッフさんの説明は難しくてよくわからなかったが、同じマンションに住んでいる人がなにやら悪さをしたおかげで、こちらにまで影響が及んだということらしい。理由はどうであれ、自分としてはネットに接続できさえすればオッケーなので、本当に助かった。そのスタッフさんには、こんな夜中に呼び出して申し訳なかったということと、復旧してもらえて本当に助かったということを伝えて、感謝の気持ちを込めてチップを渡そうとした。

しかし、そのスタッフさんは、「いえ、こういうお金は受け取るなと会社から言われていますから」と言って、受け取ろうとしない。こちらとしても、一度出したお金を、「そうですか、わかりました」と言って引っ込めるわけにもいかない。「いや、そう言わずに」とか「本当にけっこうですから」みたいな不毛なやり取りを何度か繰り返して、最後は無理やり受け取ってもらう形で決着した。

こちらとしては、純粋に感謝の気持ちを表す意味でチップを渡しているわけだから、気持ちよく受け取ってもらいたい。別に、チップを渡したからといって、この先自分だけ特別な便宜を図ってもらいたいなんてことは思っていないし、そもそもそんなことを考えるくらいの金額でもない。たかだか千円札一枚くらいで、おたがいに嫌な思いをすることもないだろう。

ということで、結論としては、チップを渡すのであれば、最後に渡すのが一番いいということだ。最初に渡してしまうと、どうしてもいやらしい下心が出てしまって、精神的にもあまりよろしくない。サービスの内容に満足したらチップを渡し、満足できなければ渡さない、これが最もシンプルな考え方だと思う。金額としては、千円札X人数分でいいと思う。少なくとも、人数分でキッチリ割り切れる金額にすべきだろう。



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