18/07/22

カジノなんてパチンコやパチスロに比べたら可愛いもの

IR法案が可決・成立したらしい。自分は日本にカジノを作ることについて、あまり積極的には賛成したくないという立場だ。外国人観光客をメインのターゲットにしたカジノであれば、まあ別にいいかな、というくらいのスタンスだ。海外旅行に来るくらい裕福な外人さんなら、カジノでちょっと遊んで負けるくらい、特にどうということもないだろう。お金持ちの外人さんから小遣い程度のお金をちょこっといただく、くらいのカジノならオッケーだ。



しかし、日本にカジノができれば、当然メインの客は日本人ということになるだろう。これがちょっと困る。この覚書でも何度も書いているように、ギャンブルというものは絶対に胴元側が勝つような仕組みになっている。テラ銭というものが存在する以上、客がハウスに勝つのは不可能だ。もちろん、短期的には勝つこともあるけれど、長期的に見た場合は絶対と言っていいくらいに負ける。

今回の法案では、カジノの入場料が6,000円になったらしいが、これはものすごく高い金額だと思う。たとえば、ラスベガスのカジノなら無料だ。ルーレットやバカラなど、種目によってそれぞれにテラ銭が設定されているから、入場料を取るというのは、普通に考えればテラ銭の二重取りということになるから、かなりひどいやり方だと感じてしまう。

しかし、理不尽とも思えるこの高い入場料の目的は、カジノに入場するハードルをあえて高くして、ギャンブル依存症になる人を少しでも減らそうということらしい。たしかに、タダで入れる場合と比べて若干ハードルは上がるだろうから、まったく意味がないことだとは思わないが、どちらにしてもカジノに来る客からカネを巻き上げることには変わりないわけだから、ひどいやり方であることは間違いない。

まあ、日本にカジノができたところで、野党が騒いでいるような「ギャンブル依存症が増える」という事態にはならないだろう。もちろん、ほんの少しは増えるかもしれないけれど、入場料を6,000円も取られるカジノがきっかけでギャンブル依存症に陥るなんていうセレブは、いまの日本にはほとんどいないと思う。依存症になるくらいにカジノに通える人というのは、地理的・経済的な条件から考えても、国会で大騒ぎするほどの人数はいない。

ギャンブル依存症を心配するのであれば、パチンコとパチスロはいったいどうなるんだと言いたい(これ以降は、パチンコとパチスロを「パチンコ」と総称)。日本には500万人を超えるギャンブル依存症者がいるらしいが、そのほとんどがパチンコにはまっている人たちだ。なにしろ、日本国内のパチンコの市場規模は約20兆円だ。世界全体のカジノの市場規模が約18兆円だというから、それよりも多い。

この数字は、この覚書を書くにあたって事前に調べた数字なのだが、世界全体のカジノの市場規模よりも、日本のパチンコマーケットの方が大きいということを知って、かなりの衝撃を覚えた。パチンコの市場規模は年々小さくなっているけれど、それでも、世界中のカジノを合わせたマーケットよりも大きいのだ。日本がいかにギャンブル大国なのかということを端的に表している数字だと思う。

最近になって嫌々ながらスマホを買ったのだけれど、せっかく買ったからには使わなければと思い、毎日の通勤電車の中でスマホをいじっている。そこでたまたま、パチンコで借金を作った人のブログに出会い、なんとなく読んでみたのだが、これがものすごく面白い。小説のように、よくできた架空の世界を楽しむ面白さではなく、実際に借金で苦しんでいる人のリアルな実情を共感できる面白さがある。

このブログにはまってしまい、そのほかにも同じような境遇の人のブログもいくつか読んだのだけれど、パチンコにはまっている人というのは、面白いくらいに思考や行動のパターンが似ているということに気付いた。一言でいうと、とにかく思考や行動が「クズ」なのだ。もちろん、自分だって欠点だらけの人間だけれど、そんな自分でさえ、「コイツ、本当にクズだな」と心の底から思うくらいにクズばかりなのだ。

たとえば、月末のサラ金への支払いで5万円必要なのに、手持ちが2万円しかないという状況の場合(というか、そもそもこういう状況になること自体がおかしいわけで、普通ならば最初に月末の支払い分を確保しておくはず)、パチンカスは「足りない3万円をパチンコで増やそう」と考える。いやいや、そもそも借金を作った原因がパチンコなのに、なぜそのパチンコで金を増やそうと考えるのかがわからない。

こういう場合は大抵負けるけれど、たまに勝つこともある。「コイツは本当にカスだな」と思いながらブログを読んでいても、やっぱりどこかで応援している部分もあるので、「そうか、勝ってよかったな、その金で早く今月分を支払えよ」なんて思うのだが、そんな思いをを裏切るかのように、「これを元手に、さらに大きな勝負をして一気に借金を減らすぜ!」みたいなノリで、またパチンコ屋に向かうケースがほとんどなのだ。

これで勝てればいいけれど、そんなにうまくいくはずもなく、結局は有り金全部突っ込んで負けるということになる。この状況になってようやく、「あのとき勝った金で支払いを済ませておけばよかった」と後悔するのだが、その気持ちもどこへやら、次の月になるとまた同じパターンを繰り返す。自分が読んだ借金ブログはまだ数人程度だけれど、本当にどの人もまったく同じパターンなのだ。

「クズ」とか「カス」とか書いたけれど、これがギャンブル依存症という病気の怖さなのだと思う。パチンコなんてするもんじゃないと頭ではわかっていながら、一度はまってしまうと、そこから抜け出すのは本当に難しいらしい。こういうクズやカスが日本には500万人以上もいるわけだから、パチンコに比べたらカジノなんて可愛いものだ。日本から一気にパチンコをなくせば、いろんな面で日本が好転していきそうな気がする。本当に、パチンコ屋だけは要らない。



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