18/04/15

平尾くんはすごいなと思う件について

平尾受刑者が刑務所から脱走して1週間が経つけれど、この覚書を書いている時点ではまだ見つかっていないらしい。1,000人態勢で捜索しているにもかかわらずまだ見つかっていないというのだからすごい。こういうことを書くと怒られそうだが、自分としては心の中でちょっと平尾くんを応援している部分もあったりする。



自分は昔から脱獄や脱走に関するエピソードが大好物で、そういった本をよく読む。自分にとっての脱獄ヒーローは、なんといっても白鳥由栄だ。なにしろ、4回も脱獄に成功しているのだ。脱獄のたびに監視体制が厳しくなっていくのに、それでも脱獄を繰り返していたのだから、いかにすごい人物だったのかということがわかる。

自分が特にすごいと思ったのが、味噌汁を口に含み、自分の手錠の鍵穴と監視孔の鉄格子にそれを毎日根気よく垂らし続けたというエピソードだ。味噌汁の塩分で鉄を錆びさせて脱獄するというアイデアだけれど、そういうアイデアが浮かぶこと自体がすごい。しかも、狭い監視孔から脱出するために、わざと肩を脱臼させたというのだからすごすぎる。体力の面でも超人的なものがあったようだ。

しかし、そんな超人的な白鳥さんも、脱獄後はすぐに捕まって、また刑務所に戻されている。白鳥さんの場合は、刑務所での非人道的な扱いに抗議する意味で脱獄を繰り返していたらしいから、脱獄自体が目的で、脱獄してから捕まらずに逃げ延びるということには、それほど重きを置いていなかったのだろう。そもそも彼くらいの超人が本気を出せば、捕まらずに逃げ延びることも難しくなかったと思う。

映画では、クリント・イーストウッド主演の「アルカトラズからの脱出」が大好きで、テレビで放映されるたびに見ている。クリント・イーストウッドが演じるフランク・モリスはかなりの知能犯で、絶対に脱獄不可能といわれるアルカトラズ島の刑務所から、さまざまな策を講じて仲間とともに脱出に成功する。刑務所の中でライフジャケットやボートを作ったりするのがすごい。

脱獄判明後、すぐに大規模な捜索が行われたにもかかわらず、モリスを含めた3人の脱獄囚を発見することはできなかった。遺体が上がることもなかったため、映画では、3人がまんまと逃げ延びたような感じを与えるラストになっている。遺体が上がらないということは、本当に脱獄に成功したのかもしれないという期待を抱いてしまう。

ただ、実際にはそんなに甘くはないようだ。本当にモリスたち3人は脱獄に成功したのかを綿密に検証した海外のドキュメンタリー番組を見たことがあるが、その検証によると、島からボートで漕ぎ出した直後に、激しい海流に巻き込まれて命を落としたという可能性が高いということだった。なんだか夢がないなあとは思うけれど、普通に考えればそういうことになるのだろう。

ということで、白鳥さんもモリスも、脱獄自体には成功したけれど、捕まらずに生き延びるという点では失敗している。そう考えると、わずか1週間とはいえ、これだけの大規模な捜索から逃げ延びている平尾くんはかなりすごいんじゃないかと思うわけだ。いったいどんな気持ちで逃げているのかについては、こちらで勝手に想像するしかないけれど、やっぱりハラハラドキドキなんだろうな。

子供の頃によくかくれんぼをして遊んだけれど、隠れている間のドキドキする感じはいまでも覚えている。隠れている子たちが次々に見つかり、最後に自分が残ったときにはドキドキが最高潮に達して、そういう状態で鬼がこちらに向かってくるのがわかると、緊張状態に耐えられず、自分からわざと隠れ場所から出て見つかりにいくことがよくあった。

かくれんぼでさえそんな感じだったから、自分は平尾くんのように逃げ延びたりするのは無理だろう。包囲網が狭まっていると感じたら、その緊張状態に耐えられずに自分から捕まりにいくと思う。その前に、わざわざ脱走なんてしようとは考えないだろう。というか、そもそも刑務所に入れられるような罪を犯してはいけない。

それにしてもよくわからないのが、なぜ脱走したのかということだ。5年前に窃盗の罪で5年6カ月の判決を受けたということだから、おとなしくしていればもうすぐ満期で出所できていたわけで、なぜわざわざ危険を冒してまで脱走したのかがわからない。まあ、遅かれ早かれ捕まってしまうだろうけれど、出所したらぜひ手記を書いてもらいたい。脱走の動機や逃亡中の生活の様子などを詳しく知りたい。



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